バニラ・エアが燃えている。木島さんも燃えていて、インターネットも燃えている。

本題に入る前に一つだけ伝えたいことがある。事実の解釈とやりすぎなネット論に少しだけ訂正を加えて正しい議論の争点を提示する、というのがこのブログの目標だ。そして受験間近で時事問題のネタが欲しい学生には特に見てもらいたい。

 

それでは本題に入ろう。

今回のバニラエア問題の全容ををとてもざっくり説明する。

 

6月5日、鹿児島県奄美空港、格安航空会社バニラ・エア(本社 成田空港)では、関西空港行きの便を利用した半身不随の客(木島 英登氏 普段は車いすを使用)に階段式のタラップを腕の力で自力でのぼらせた、 という出来事があった。その後、バニラ・エアは 不快にさせた と謝罪を行い、車いす客も搭乗できるようストレッチャーを完備することを発表した。

 

さて。

今回の一連の出来事が炎上してしまった原因を挙げようと思う。(受験生の筆者にとって調べなければならない時事問題が増えるのはまったく迷惑な話だ(これは関係ありませんね笑))

(1)バニラ・エアの安っぽすぎるサービス

(2)木島 英登という強烈な人物

(3)他

大まかにいうとこの3点である。それでは一つづつ見ていきたいと思う。

 

(1)バニラ・エアの安っぽすぎるサービス

①バニラエアのシステム

毎日新聞での取材で「関空奄美線では、自力で歩けない車椅子のお客さまから事前に連絡があった際には搭乗をお断りしていた」と答えていた。

→問題点1 事前連絡しても乗れない!!!

他の線では設備がなされていて関空-奄美間ではされていなかったから、お客さまの搭乗を『お断りしていた』という点。設備が整っていないことも含めて格安サービスと言い切ってしまえばそれまでだが、それは明らかにおかしい。例えば自分が関空から奄美にいく分には友人の助けで問題なく行けたのに帰るときには同じ線で帰れないという。一般的に考えても搭乗を断られるのに違和感を抱いても仕方が無い、という意見もある。

 

→問題点2 ストレッチャーすら買い揃えてない格安サービス

ストレッチャーの値段は15-20万円ほどである。そもそも民主主義国家では社会的マイノリティは認可されているため、半身不随だからといって格安航空サービスを利用できない、しょうがないね、ということにはならない。乙武氏は自身のブログで障害者差別解消法について述べているが、実際、合理的配慮がされていなかったために、バニラ・エアは謝罪し、改善を表明したのである。サービスを削って格安を提供しているからしょうがない、、←20万のストレッチャーも買えなかったの?という意見も生じている。

 

(2)木島 英登という強烈な人物

ここでこの騒動の主人公ともいえるとても強烈なキャラクターが登場(搭乗)する。筆者はこれを真顔で打ち込んでいる。簡単にプロフィールを。

 ①木島 英登(きじま ひでとう)

1973年生まれ44歳。高3のときに半身不随を患い、その後車いす使用者のバリアフリーのために努める。海外157カ国を取材し、日本の保護・隔離中心のバリアフリーに批判的で、それをより合理的にするべく「共生」を目標として活動する。

 

一見とても素晴らしい活動家に見えるし、事実そうなのだろう(明確には言及しない)。しかし、彼の起こした行動も、今回の事件発生に深く関わっている。

→問題点1 なぜバニラ・エアを使った?

バニラ・エア社は車いす客(関空-奄美線)は事前に連絡を入れて欲しいと明示している。そしてその車いす客には搭乗を遠慮してもらうという対応を今まで取っていた。わざわざバニラ・エア社を利用しなくても他にも障害者に対応している航空会社はいくらでもある。事前に呼びかけをしている会社をあえて選ぶ必要はない(最も、本人はそういったサービスのないバニラ・エア社を『あえて』使用した、という)。

 

→問題点2  木島氏の言動・行動

木島氏は事前報告を呼びかけているバニラ・エア社に対して『あえて』事前連絡をせず、わざと炎上させるように仕向けたただのクレーマーなのでは?という意見もある。事実、彼はインタヴューで「こっちからは連絡なんぞしない!」と言い切っており、障害者だから許される部分と、一般人として許容されない部分を混同している様子も見られる。事前連絡は障害者であるかどうか以前に(それが出来るはずでありながら)しなかったというのは人間性を疑われても仕方がない。

 

→問題点3  木島氏の素行

彼は以前にも4回、登場拒否されておりその都度『これは差別である』と自身のブログで異議申し立てている。また、フライト中の小便は手伝ってもらうのが非効率的だから自席で行うなどといったあまり褒められないその素行を問題視されている。特にインターネットではこの点を糾弾する意見が多い。

 

(3)ほか

乙武洋匡氏のブログ「バニラ・エアが燃えている。しかし、木島さんも燃えている。」の中で一連の騒動は障害者差別解消法のうち、木島氏の要求は十分に『合理的配慮の範囲内』に含まれるものであり、明らかに違法行為である、という意見を述べた。これには橋下徹氏も自身のTwitterで賛同しており、「バカな自称インテリが抽象論だけで木島さんをクレーマー呼ばわりしているのはほんとバカ丸出し」 といった強気の発言をしている。

 

②「プロ障害者」

木島氏はabemaprimeに出演し、芸能人が容姿を活かして仕事をするように、「自身の個性を活かして仕事をしているだけなので、別にプロ障害者でもいいと思いますけど」と語った。インターネットでは、プロ障害者という単語と彼の言動・素行を結びつけて「障害者という権利にかこつけて自分勝手に生きている」という解釈が多くなされている。木島氏自身が炎上したのはこの発言によるものが大きい。

 

 

〜point〜

バニラ・エア社(関空-奄美線)は元々、車いす客の搭乗を拒否していた。

バニラ・エア社には20万のストレッチャー設備が無かった。

・木島氏はわざと事前連絡をせず、炎上させるようなことをした。

・木島氏は前々から似たようなことを繰り返しており、「プロ障害者」という発言が炎上の要因となった。

乙武氏は木島氏に全面的に賛成し、バニラ・エア社は障害者差別解消法に違反している、と述べた。

 

 

《まとめと感想》

今回の事件の流れは私が「いじめられる子も悪いよねパターン」と(勝手に)呼んでいる形の出来事だったと思います。最初にバニラ・エア社の失態が叩かれる、そして実はやられた木島氏とやらも相当悪いヤツだとわかり、最後にその人が叩かれるというパターンです。以前、京都の居酒屋に立ち寄ろうとした韓国人に「ファッキンコリアン」と発言した出来事でも似たような流れがありましたよね笑

こういった論争は実質的な解決をまるで伴いません。ええ、びっくりするくらい意味の無い話し合いなんです。

私は念を押しておきます。問題なのはメリットデメリット論ではありません。どちらかが有罪で、どちらかが無罪というものでは無いのです(もちろん司法で裁かれた場合は除いてね笑)。どちらにも悪い点があり、どちらにも主張すべき点があって当然です。

私はこの一連を「いじめられる子も悪いよねパターン」と例えました。ここまで読むと、共感して貰える人もいるのではないでしょうか(しなくてもそこをつつかないでくださいね笑)バニラ・エア社にも不備はあったし、木島氏にも至らない点があった、そこは不動の真実です。木島氏が悪い人だったから、バニラ・エア社は悪くないとかその逆とかでは無いんです。

 

最後に私は争点を提示します。この出来事でより話されるべき点はこれからの障害者への対応の柔軟化だと思います。バニラ・エア社には車いす客へのストレッチャー配備は当然のこと、より公正なサービスが求められるでしょう。そして木島氏といった障害者を盾にして事前連絡もしないという自分勝手な人(非常に少ないとは思いますが)には障害者差別解消法解釈の変化が求められると思います。この法案の「合理的配慮の範囲内」とはどういったものでどこまで許されるべきなのかこそ取り上げられるべきだと思います。

 

ご清聴ありがとうございました。